エジプト旅行記−9

99年12月19日(日)−4

 マイクロバスに乗って、ずんずんと田舎に向かった。途中マイクロバスからは、砂埃の中にギザのピラミッドがはるか遠くに1円玉くらいの大きさに見える。
"I See pyramid for the first time."なんてはしゃいでいた。隣に座っているおじさんも、僕が喜んでいるのを見て、あっちにもピラミッドが見えるよ。と教えてくれる。ようやくエジプトに来た気になってきた。
遠くにうっすらと2つほど(本当は、3つ)見えるのが、ギザのピラミッド。ちょっと、見にくいですが。。

 白川くらいの幅(20メートルくらいか)の運河のまわりには、ヤシの木が生えて、初めてみる緑の地帯がある。カイロは空気が悪く、呼吸するのも大変(私は喘息というわけでもないのに、咳は出るし、気管支も痛くなっていた)であるが、ここまで来てようやく新鮮な空気を胸一杯に吸うことができた。ただ、運河を少し離れると相変わらずの砂漠地帯。まさしく、エジプトは「ナイルのたまもの」である。

 およそ40分くらいマイクロバスに乗って、ようやくアブシール村に到着した。村の入り口には、市場(スーク)が開いていて、色々な野菜・果物が所狭しと並んでいた。「賑やかだねぇ。」と話しかけると
「もう、市場は終わっているから、今は、そんなに人はいないよ。朝はもっと もっと人が多いんだ。」  村は非常に狭い土の道路(5メートルくらいか)が迷路のように続いており、道の両脇にはみすぼらしい家が延々と続いている。小さな子供たち(幼稚園から小学校低学年くらいにみえる)があとからあとからわいてきて、みんな口々に「Hello Hello! What's your name?」と聞いてきてくれる。子供たちは、純朴だ。それにしても、みんな英語を知っているのには、驚いた。
 アリーには大人たちが口々に声をかけている。何を話しているかはわからないが、やはりお金持ちなのでみんなが知っているのだろう。アリーに聞いてみたら、「僕は有名だから、みんなが声をかけるんだよ。」という。

 ようやく、アリーの実家に到着。村の一番奥で、隣は砂漠が延々と続く場所である。家の玄関は立派だったが、入ってみてびっくり。台所には、ロバと牛がつながれているし、おかあさんは手で洗濯物を洗っている。屋上に連れていってもらってまわりを見渡すと、遠くにはピラミッドが見え、地平線は砂漠。ふと下を見るとそこでお母さんが洗濯をしている。噂には聞いていたが、屋根のない家を見るのは初めて。本当に雨が降らないのだろう。
 アリーの兄弟と思われる子供たちがやってきた。マイクを向けて何か話してみて、と言うと、歌を歌ってくれた。なんだか聴いたことのあるメロディーだが、一体なんだろう。
 アリーは、なかなか上等な民族服(ガラベーヤ:ワンピースを足首の長さまでのばして、首の部分と袖しか穴があいていない服)に着替えてきた。
「この服は本当にいい服だから、買ったらどうだろう?200LE(6000円)くらいだよ。」
「うん。遺跡を見て、お金が余れば買いたい。」
「では、これから僕の友人に紹介するよ。今から、らくだに乗って、アブシール、サッカーラ、ダッシュールを見学する。彼が遺跡の見学料をいうよ。足りなかったら、僕がお金を貸してあげるから、心配はいらない。
(いくら聞いても彼は値段を教えてくれない。)
 アリーについて、砂漠と村の境界にある鉄条網を抜けた。果てしなく続く砂漠の入り口でしばらく待っていると、遠くの方からラクダがおじさんに連れられてこちらに向かってきている。


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