エジプト旅行記−16

99年12月20日(月)−4

−− 書くのを忘れていたが、エジプトでは素手で食べることが多い。このように格安の食堂では、当然フォーク、ナイフの類はまず出てこない。手洗いの場所がわからないので、たいていそのまま食べていた。パンくらいは抵抗はないが、水気のあるサラダなどはちょっと勇気がいる。

 目指すアブディーン宮殿に近づいているはずだが、随分と歩いていたので14時過ぎに位にも関わらず疲れ果ててしまった。と、目の前に地下鉄の駅が見えてきた。これ幸いと、地下鉄に乗り込み、ラムセス駅(地下鉄駅名:ムバラク)の次の駅ガームラまで乗った。ガームラまで行けば、私のアパートまではほぼ一直線の道になるため。(ラムセス駅は、カイロの中心駅なので四方八方にバスが出ているのでわかりにくい)
 ガームラ駅に降りてみると、ラムセス駅方向に向かう片側通行のみの6車線くらいはあろうかという大通り。目的地とは反対方向なので、この道路を渡って、さらにもう一回6車線の道路をわたらないと目的のバスには乗れない。幹線道路なので、みんなびゅんびゅん飛ばしているし、まわりには渡ろうとする 人が一人もいない。随分と時間をかけてようやく渡った。

 バス停は見つけたが(人がたむろしているのでわかる)、一体どのバスに乗ったらいいのだろう。たぶん、人がたくさん乗っていて、見覚えのある会社のバス(カイロ市内には3−4社くらいのバス会社がある)に乗れば大丈夫だろうと思い、ある程度人であふれているバスに乗り込んでみた。今回は、バス停から目的地まで7〜8キロはあるので結構冒険である。
 とりあえず景色を見ておこうと、人をかき分け一番前に陣取った。景色がおかしくなったり、大通りから離れていったら、直ちに降りるためだ。
 しゃがんできょろきょろとしていると、バスの乗客の一人が「おい。おまえはどこに行きたいんだ?」と尋ねてくれた。「??」そういえば、自分の住んでいる町の住所は、マホメットさんに書いてもらっていたが、どのバス停で降りればいいのか聞くのをすっかり忘れていた。仕方なく「これは、ラムセス通 りか?」(この幹線道路は、ラムセス通)と的はずれの答えをすると、「おまえは間違っている。これはラムセス駅の反対方向に行くバスだから、降りろ!」と教えてくれた。
 そんなことは、私も承知。「I know. No problem.」と言って、相変わらず景色を眺めていた。しばらくすると、見覚えのある景色。どうやら、正しいバスに乗っていたようだ。だんだんと、カイロの生活にも慣れたのか。
 まだ、15時くらいであったが、疲れていたので17時くらいまで睡眠をとり、メールのチェックなどのためにマホメットさんの家まで出かけた。
 アパートでは、マホメットさんのお父さんが狭心症の発作のためにベッドに横になっていた。無理をしすぎたらしい。お父さんとは、明日、ギザのピラミッドまで連れていってもらう約束をしていたが、当然ながら、中止になってしまった。明日こそはきちんとしたカイロ見物ができると思っていたので、個人的にもかなりショックである。
 マホメットさんも今日はお祈りには行かず、お父さんの面倒を見ている。19時頃、マホメットさんの友人である循環器専門医がやってきた。診察し、処方箋を書いている。エジプトでは、お金に余裕のある人は往診してもらって、処方箋を書いてもらい、薬局で薬をもらう。というパターンが普通。病院に行ってみてもらうことは少ないようだ。
 往診後、この循環器の先生とマホメットさんと話をした。エジプトでも、日本の医療と同じ治療をしており、(冠状動脈にカテーテルを使って、狭窄部位を治すなど)手技の価格(医者の取り分)は日本と同じ。カテーテル代は、約1/3位。エジプトの物価で、日本と同じ技術料をもらえれば、もう左うちわだろう。うらやましい限りだ。

 晩ご飯も何も食べないまま、アパートに戻った。日本に電話をする用事があったので、しばらく眠ってから、夜中の1時くらい(日本時間朝8時)に雑貨屋まで出かけた。ここには食堂があるのだが、料金先払いなので、買うことができない。食べたいなぁと思いながら店を眺めて、帰ろうとすると呼び止める声がする。振り向くと、なんと初日にアラビア語会話を教えてくれたイタリア人風エジプト人(旅行記−3参照)がコックとして働いている。このイタリア人は、英語が話せるので、これとこれが欲しいと頼むと、ぱっぱと作ってくれて、「1.5LEだ」と言ってくれた。地獄に仏とはこのことか。。ようやく、非常に遅い晩ご飯を食べれる。喜んで、アパートまでサンドイッチを持って帰った。


この時のお店。手前にあるのが、様々な野菜のサラダ。正面の照明の奥にイタリア人がいる。照明の横でジュースを飲んでいるのが、レジ係。

−−この時の料理−−
ナンを半分に切って、パンの間に自分の好きな中身を言ってサンドイッチ風にしてもらう。10−15種類くらいの料理が大きな皿に盛ってある。もう、遅い時間だったので、かなりの皿の料理は1/3残っている程度。その中から美味しそうなポテトサラダ(これは、なぜか殆ど減っていなかった)、肉か魚のフライなどを詰めてもらった。


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